【ケンタロウさん】お菓子は買えても、作る時のうれしさまでは買えない。

小林カツ代さんの「たのしいおやつ」(新日本出版社)を読みました。

 

たのしいおやつ
小林カツ代
絵:尾崎曜子
新日本出版社
1990年9月発売

 

絵本の装丁ですが、絵本というよりイラスト多めのレシピ本です。
全部の漢字にルビが振ってあって、子供を対象に作られていますが、とても作りやすいレシピばかりなので、料理初心者の大人でも使えます。

レシピがメインで、エッセイはないのですが、あとがきにしびれました。

「おかしはお金で買えますが、作っている間のなんともいえないおいしそうな香りは買ってこられません」

お菓子作りは面倒です。
材料も揃えなくてはならないし、道具もある程度必要です。
分量も細かく、時間もかかります。
でも、自分で作るのは、それらを上回るうれしさがあります。
おいしそうな香りは、作る人だからこそ味わえる幸せなのです。

カツ代さんが「おいしそう香り」と言えるのは、カツ代さんがそのうれしさを体験として知っているからです。
ここがポイントです。
知識として知っていることと、体験していることは違います。

たとえば、寒い中、苦しそうな顔をしながらジョギングしている人を見て、「なんでつらいのに走るんだろう」と言う人は、走った後の爽快感を知りません。
走ってる人は、走ることでしか得られない快感を知っているので、大雨が降っていたとしても走れるのです。
つらさを上回るうれしさがあるのです。
それは走ってみなければわからないことです。
自転車の最初のひと漕ぎは力がいるというのを知識として知っているのと、実際に漕いでみて体感するのとはまったく違います。

ケーキを焼く人だけが味わえる幸せがある

ケンタロウさんも「クリームパウンドケーキ」のエッセイで、カツ代さんと同じことを言ってます。

vol.13 クリームパウンドケーキ |ケンタロウの恋するハッピーメニュー

ケンタロウさんも、幸せを体験しているからわかるのです。

だからといって、手作りがいいということではありません。
買ったお菓子には、買ったお菓子のよさがあります。
手作りには、手作りでしか味わえないよさがあります。
どっちが上で、どっちが下ということではないのです。
どっちもいいのです。

カツ代さんもケンタロウさんも、買ったお菓子をよさを知っていても、それでも手作りするのは、あのうれしさには敵わないからです。
お菓子を焼いてる時の甘い香りは、プライスレスなのです。

今できることつらさを上回る喜びを、知ろう。