【追記あり】ケンタロウ本「小林カレー」の、知らなかった4つのこと

鈴木めぐみさんの「料理書のデザイン」(誠文堂新光社)には、「小林カレー」(幻冬舎)が紹介されています。


料理書のデザイン

この本では、「著者の世界観に寄り添う」の1冊として「小林カレー」が取り上げられています。
 


 
どのようなデザインをしたのかを、アートディレクションを担当した有山達也さんが解説しています。
 


 
本のコンセプトや構成、フォント、ノンブル(ページ表示)など、いろんなデザインのポイントが書かれてあるのですが、ここでは意外だった3つのことを紹介します。

①題字

まずは、表紙の題字(タイトル)です。
「小林カレー」と著者名は、活字ではなく、手書きになっています。
この本を買った時から、この字はケンタロウさんが書いたものではないとはわかっていましたが、誰が書いたかはわかりませんでした。
書いたのは、実は、有山さんだったのです。
アートディレクターが書くこともあるとは、ちょっと意外でした。

②母ではない

「小林カレー」を持っている人はわかると思いますが、奥付のページにケンタロウさんの写真があります。
問題は、ケンタロウさんの左に座っている女性です。
パッと見、「お母様?」と思いますが、よく見ると違います。
「でも、一緒に写っているんだから、やっぱりお母様なのかな?」と納得いかないまま、ずっと放置していました。
喉に魚の小骨が刺さったまま、10年以上ほったらかしにしてたようなものです。

やっぱり、お母様(カツ代さん)ではないそうです。
でも、これが誰かは書いてありません。
この写真のためだけにまったくの他人をキャスティングするのも不自然ですし、でもそれをあえて狙った可能性もゼロでもないので、ますます気になります。
喉の小骨は、まだ取れそうにありません。

③タイトルの由来

これが一番びっくりしました。
ケンタロウさんの苗字は、小林です。
しかも、カレー好きです。
だから、「小林カレー」だと思ってました。
でも、違いました。

なんと由来があったのです。
以前、こんなのを書きました。
 


 
上にも書いた、福岡にある「小林カレー」というお店がモデルなのです。
カメラマンの長野陽一さんの実家が福岡・二日市で、有山さんと長野さんとケンタロウさんとでそのお店を見て、「それいいね」となったそうです。
文化祭の模擬店を決めるようなノリで、なんともチームケンタロウらしさを感じます。
 


 
福岡県筑紫野市二日市中央2-6-11

④編集者二本柳陵介さん

編集を担当した二本柳陵介さんが自身の Instagram で制作エピソードを紹介してくれています。

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ブックカバーチャレンジ 三冊めは、「小林カレー」。 担当なんだけど、 実質担当の仕事をしていないという一冊。 ケンタロウさんが言った。 「カレーが一番好き。 だから、生涯で一冊 カレーの本を作りたい。 自分の思うがままに作りたい」 つまり、 自分の好きなスタッフで、 好きなように作ってみたいと。 デザイナーは有山さん。 カメラマンは長野さん。 @naganoyoichi いろんなことが決まっていく。 「明日撮影しまーす」と 連絡いただいて、カレーを 2.3品食べて帰る(笑) レイアウト入れも、 いつのまにか終わってた。 発売して2日後くらいだったか、 会社に電話があって、 「このレシピ、何かがおかしい」と 読者から指摘があった。 ケンタロウさんに聞いたら、 「大さじと小さじを間違えた」と。 アシスタントつけずに  作っていたから、 ダブルチェックできなくて ミスが起きてしまった。 青山ブックセンターで行われた サイン会では、サインのほかに その誤植部分を自ら書き直した。 レシピも装丁も写真も スタイリングも 最高の料理本だと思う。 ちなみに料理本はお金がかかる。 材料費。でも、ケンタロウさんは この本の材料費を 請求してこなかった。 「領収書の整理が出来なかった」と。 おーい、ケンタロウさん、元気か? 首都高の外苑出口を 曲がるたびに、 ケンタロウさんのことを 想いだす。 #小林カレー #ケンタロウ #bookcoverchallenge #ブックカバーチャレンジ #curry #幻冬舎  #cook #料理本 #有山達也 #長野陽一 #最初で最後の料理本かも #福岡にある小林カレーにいつか行きたい #料理本リレー #RRL #7日間ブックカバーチャレンジ #yanagiwork

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誤植がきっかけで作るメニューを変えた人

 

おまけ

「料理書のデザイン」には「小林カレー」の製本データも記載されています。

カバー:塩化ビニール
表紙:JETスター
本文:OKトップコート+
製本:かがり網代(あじろ)綴じ