本屋の店員さんがケンタロウ本「はじめてのキッチン」を読んで「雷が落ちたよう」。

新刊本の紹介はよくありますが、書評でケンタロウ本を見つけました。

【書評】『はじめてのキッチン』小林ケンタロウ – 横丁カフェ|WEB本の雑誌

面白いとは言わずに面白さを伝える

清水さんは、本屋さんで働いています。
面白いのは、その働いてるお店でケンタロウ本を見つけたのではなく、図書館で手に取ったのです。

本屋さんの店員さんが紹介するのだから、新しく入った本やランキング上位の本を取り上げると思いきや、まさかの図書館なのです。
ここに清水さんのキャラがよく出ていますし、いかに本が好きかというのが伝わってきます。

さすがプロだけあって、なぜこの本をオススメしたいのかを、ピンポイントで書いてくれています。
面白い本を、いかに「面白い」と言わないので、面白さを伝えるか。
もっとも難しいことですし、その人のセンスやボキャブラリーが試されます。

「落雷的な衝撃を受けた」
「肩と足がぷるぷるした」
「涙が出そうになった」

これだけ見ると、まさかレシピ本のレビューとは思えません。
てっきり長編サスペンスかドキュメンタリーと思っても不思議ではないです。
これだけでも、いかに興奮したかがよくわかります。
レシピ本は、普通は料理のことを淡々と書いてて、興奮するようなものではないです。
それだけ清水さんに突き刺さった運命的な本だったのです。

カツ代さんのことも書いてくれています。
「カツ代さんのレシピはおいしい」「簡単で作りやすい」とは書かず、「料理は自由」と表現しています。

清水さんは、さすがです。
本の字面だけを見ているのではなく、ちゃんとケンタロウさんやカツ代さんの人柄を見ています。
ほとんどの人は、レシピ本の字だけを見ています。
もちろん、料理をおいしく作るための本なので、字だけ読んでも料理は作れます。
でも、文字の奥にある、書いた人のことを想像しながら読むと、同じ料理でも、さらに味わい深くなるのです。

最後は、「もっと料理したいと思える本」と結んでいます。
まさにこれこそが、ケンタロウさんの目指すところなのです。
作ってくれるのは、もちろんうれしいのですが、それ以前の、作ってみたいと思ってくれないことには始まらないのです。
そこがスタートなのです。
ケンタロウさんは、きっかけ作りの達人です。
「ほら、こんなに簡単だぜ」を、手取り足取り教えてくれています。
料理は、まずは、やってみたいと思えること。
そして、やってみたら、思ってた以上に楽しかったと思えること。
この2つなのです。

この記事は、2009年5月に書かれたものです。
この時点では、名古屋の正文館書店で働かれてるそうですが、今でもまだいらっしゃるでしょうか。

最後にある清水さんのプロフィールが、また面白いのです。
たいていこういうプロフィールは、味気ないのが多いのですが、ちゃんと読ませる自己紹介になってて、いい味出してます。