【ケンタロウさん】食べることは、テレビよりずっと楽しい。

出典1:ケンタロウのはじめてつくる おとこの料理
(朝日新聞社/1996年4月)

出典2:ごくらくの食卓
音楽を聞くように料理する本
(主婦と生活社/1996年9月)

「ごくらくの食卓」で、ケンタロウさんは「(食事の時は)テレビを消してくれ」と言っています。

ケンタロウさんにとって、楽しむべきは食事であって、テレビではないのです。
せっかくのおいしい食事なのに、テレビなんか見てたらもったいないのです。
ケンタロウさんは、食べることを大事にしています。
あくまでもメインは食事であって、テレビを見る時間ではありません。

ケンタロウさんのデビュー作「はじめてつくるおとこの料理」にも、「ぼくはテレビを消してもらいたい。
目の前の皿の上は、テレビなんかよりずっと楽しいはず」とあります。

ケンタロウさんが、食事はテレビを見る時間ではないと思うようになったのは、カツ代さんの教えがあったからかもしれません。
実際に言われたかどうかはわかりませんが、おそらくそういう話はしていると思います。

カツ代さんの「育児ぶっつけ本番」(大和書房)の中で、「どんなにおいしいごちそうでも、テレビには勝ち目はない」と言っています。

小林カツ代さんが子供のために食事のとき心がけた5つのこと

私も、経験があります。
晩ごはんを食べながら、テレビを見ていました。
テレビは、私の向かって右側にありました。
顔を右に向けながら食べるのですが、テレビが面白くて、だんだんと体ごと右に向いていきます。
自分では飯台の方に向いているつもりなのですが、気がつくと、テレビの方に向いているのです。
母からいつも叱られていました。
テレビを消されたことも何度もあります。
それくらいテレビは夢中になりやすいのです。

ケンタロウさんはテレビのことを言ってますが、その時代にはなかったものがあります。
それはスマートフォンです。
上の「テレビ」を、スマホに置き換えても、そのまま通用します。
あの頃のテレビが、今ではスマホなのです。

お店に食べに行っても、席に着くなり、すぐにスマホを取り出し、テーブルに置いてます。
お箸、取り皿、おしぼり、そしてスマホです。
一人で食堂に入って、食べ終わるまで、ずっとスマホを見ている人もいます。
4人なのに、みんなそれぞれがスマホを触っているので、一緒にいる意味があるのかなと思ってしまいます。

イタリアのパスタメーカー「バリラ」の広告が面白いです。

レシピ本の設定で、メニュー名が「リガトーニと沈黙のスマホ」です。

材料は4つです。
①バリラのリガトーニ:1箱
②友達:6人
③気を散らすもの:0
④顔を合わしての会話:1

③は、ここではスマホのことです。
スマホはゼロ、つまり、必要ないのです。
食事の時に、気を散らすようなものはテーブルの上に出してはいけないのです。
スマホを見つめるのではなく、目の前の人の顔を見て、会話をしましょうという意味です。
今の時代にぴったりな皮肉が込められたメッセージになっています。

たぶんケンタロウさんも異議はないでしょう。
むしろ、激しく同意してくれると思います。
ケンタロウさんは、食べることが大好きです。
好きだからこそ、大事に食べたいのです。
純粋に食べることに集中したいのです。
そのためには、テレビやスマホは邪魔なのです。
テレビやスマホを嫌っているわけではありません。
悪者でもありません。
食事の時には必要ないのです。
食事は、食べる時間です。
テレビもスマホも、食事の後に見ればいいのです。
ケンタロウさんは、マナーの問題とは言っていません。
ただ食べることが好きなのです。

「ケンタロウ+キッチンでおいしい生活」(ソニー・マガジンズ)では、
「(料理は)しょうもないテレビを見るよりも100倍楽しい」と言ってます。
2倍ではなく、100倍です。
ケンタロウさんは、テレビなんて目じゃないくらいに、料理も食べることも、大好きなのです。

 

どう食べるかは、彼らが教えてくれています。

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