ケンタロウ本には、問いがある。

ケンタロウ本には、「僕はこう思うけど、君はどう思う?」の問いがあります。

料理なんてしてもしなくてもいい

たとえば、「ケンタロウ+キッチンでおいしい生活」(ソニー・マガジンズ)には、「料理なんてしてもしなくてもいい」とあります。

 

この本は、ジャンルで言えば、料理本です。
料理をしたい人に向けて作られています。
「料理はした方がいい」ならわかります。
「料理なんてしなくてもいい」と言われると、「え? そうなの?」と思ってしまいます。
「料理なんてしなくてもいい」は、言わなくてもいい言葉です。
でも、ケンタロウさんにとって大事なことだからあえて言うのです。
問題提起です。

「料理ができないから
・社会人失格
・嫁失格
・女の子失格
ではない」と言い切ります。

「料理ができると、毎日が、笑っちゃうぐらいいかす」と言う一方、「そんないかす瞬間の連続ばかりじゃない」とも言います。
これは真実です。

料理は、時間も手間もお金もかかります。
思ったような味にならないこともあります。
炊飯器のスイッチを入れ忘れることもあります。
買い忘れや買い間違いもあります。
包丁で指を切ります。
グラスを割ります。
朝慌てて出かけたら帰ってきて朝の洗い物から始めることになるし、いろいろ大変です。

ケンタロウさんの立場上、「いいことばかりで、デメリットは一切なしだぜ」と言いたいところですが、それはうさん臭いです。
何か怪しいビジネスの匂いがします。
「いいこともあるけど、いいことばかりでもない」は、とても大事なポイントです。

ケンタロウさんの問い

たとえば、目の前の道が左と右に分かれていたとします。
道案内のケンタロウさんがこう説明してくれます。

左に行けば、こうなります
右に行くと、こうなります
どっちに行きますか

これが問いです。

「料理はしてもしなくてもいい」と前置きした上で、

①料理をするとこんなことがある
②料理をしないとこんなことがある

と提示しています。
どっちを選んでもいいのです。

著者としては、「料理はした方が絶対にいいよ」と言いたいです。
でも、それだと押し付けになります。
料理が苦手な人には、余計なプレッシャーになってしまいます。
ケンタロウさんは、意見を押し付けません。
必ず選択肢を用意してくれています。

「ウルトラクイズ」の◯✖️クイズは、間違った方に飛び込むと泥まみれになるのですが、ケンタロウさんの問いには✖️はありません。
 

 
✖️はつらいです。
左に行っても、右に行っても、どっちも◯です。
料理をするから◯で、料理をしないのは✖️だと否定されている気がします。
料理をしてもしなくても、どっちも◯です。
これがケンタロウさんの答えです。
どっちかが正しくて、どっちかが間違いだと選ばない方がいいということになってしまいます。

もう一つ、ポイントがあります。
ケンタロウさんが楽しそうだからと、料理をしたとしても、必ずしも楽しいとは限らないのです。
なぜならケンタロウさんの人生とあなたの人生は違うからです。
思ってた以上にハマるかもしれませんし、まったく楽しくないかもしれません。
それはやってみないとわかりません。
仮にまったく楽しくなかったからといって、それは✖️ではありません。
料理をしたことで、楽しくなかったとしても、何かしらの気づきや学びがあります。
少しでも何かに気付けたら、それはやってみた価値があったのです。
それが◯です。
その気づきと学びが大化けすれば、一気に好きになることもあるのです。

ふたりのハッピーメニュー

以前、「ふたりのハッピーメニュー」のエッセイは家庭科の教科書に載せるべきシリーズを書きました。
これもケンタロウさんの問いです。
 


 
ケンタロウ本には、ケンタロウさんの「◯◯が好き」が大量に出てきます。
それは自分のことを振り返るチャンスです。
ぜひ「自分はどうだろう」と考えてみてください。
「自分は何が好きか」を考えることで、ケンタロウさんのことだけでなく、自分のこともよくわかるのです。
ケンタロウ本は、一冊で二度おいしいのです。
 

今できること思いっきり、飛び込もう。