【追記あり】ハインツケチャップのオランダ製とアメリカ製の違いをハインツに聞いてみた
- 2017.10.18
- 気になったこと
ハインツのトマトケチャップが大好きです。
ずっと前から気になっていたことがあります。
ハインツケチャップにはオランダ版とアメリカ版がある
ハインツのケチャップには、大きく分けて2種類あります。
1つは、一般のスーパーでよく見かけるタイプです。
もう1つは、輸入品を扱う雑貨店や通販で手に入るタイプです。
普通のスーパーでよく見かけるハインツケチャップは、逆さボトルです。
裏のラベルを見ると、原産国はオランダになっています。
トマトケチャップ 逆さボトル 250g|商品情報|ハインツ日本株式会社
ハインツのトマトケチャップ 逆さボトル 250gをご紹介します。
たとえば、カルディに売ってるハインツケチャップは約1リットル入っていて、逆さタイプではなく、昔からある普通のボトルです。
こちらの原産国はアメリカです。
普通のスーパーでは見かけない理由がわかりました。
どうやら業務用のようです。
1,070g クリアボトル | トマトケチャップ&マスタード | 商品情報 | ハインツ日本株式会社 業務用商品 ホームページ
ハインツ日本株式会社 業務用商品のホームページです。
原産国を変える理由
なぜ同じハインツケチャップなのに原産国が違うのでしょうか。
わざわざ原産国を変えるのには、明確な理由があるはずです。
いろいろ調べてみてわかったのが、1つは原材料です。
上の画像にもありますが、注目すべきは砂糖とにんにくです。
一方、アメリカで製造されたラベルを見ると、砂糖の代わりに糖類が使用されていて、にんにくがなく、代わりに玉ねぎが使われています。
同じケチャップなのに、原産国を変え、しかも原材料まで変えています。
ますます不思議です。
原材料が変わるということは、味が変わることを意味します。
食品メーカーにとって味は生命線なはずなのに、味を変えてまで製造する根拠が気になります。
ハインツに聞いてみた
ハインツのお客様相談室に聞いてみました。
気になったポイントは、次の3つです。
①なぜ生産国を分けるのか
②なぜ原材料まで変えるのか
③いったいどっちの味が正式なのか
3つの内容を聞いてみたのですが、電話の担当者さんは用意された文言を読んでいるだけで、私が求める「なぜ」の部分はわかりませんでした。
家庭向けのオランダ版と業務用のアメリカ版がある
それぞれ原材料が違う
と教えてくれたのですが、それはすでにわかっています。
どっちが正式なのか
最後にダメモトで聞いたのが③の「どっちの味が正式なのか」です。
単刀直入に聞いてみました。
「ハインツさんとしては、オランダ製とアメリカ製のどっちが正式なんですか」
ハインツは、アメリカのメーカーです。
なので、当然アメリカ製の味が正式と思ってました。
でも、実は、オランダ製がハインツのオリジナルレシピで製造、つまり正式だそうです。
アメリカで製造する理由
オランダ製がハインツのオリジナルレシピとするなら、アメリカ製のハインツケチャップはなんちゃってハインツケチャップになってしまいます。
なぜ二番煎じのようなレシピになったのでしょうか。
考えられるのはコストです。
オリジナルレシピにこだわってしまうとどうしてもコストが高くなってしまいます。
コストが高くなるということは、卸値も高くなってしまうので、業務用として成立しませんし、スケールメリットも出にくいです。
なので、安い原料に変えて、卸値を低くしたのでしょう。
砂糖の代わりに糖類を使っているところからもそれがわかります。
ただ、糖類だけだと嘘っぽい甘さになってしまうので、玉ねぎで補った(ごまかした)と思われます。
と最初は書いていたのですが、アメリカで売られてるハインツケチャップはどうなんだろうと気になりました。
アメリカ製なのか、それともオランダ製なのか、どっちなのでしょうか。
調べてみたら、アメリカ製でした。
コストの問題で原材料を変えたに違いないと考えてましたが、アメリカ人の味の好みに合わせたかもしれません。
ただ、そうなると、ハインツのオリジナルレシピはいったいなんなんだということになってしまって、ますますわからなくなってきました。
アメリカとカナダでは原材料が違うと指摘する記事もあって、私と同じように気になってる人は多いようです。
Lots of #organic ingredients in Heinz Organic Tomato Ketchup pic.twitter.com/5XjeXNiRrt
— ingredients (@ingredients) November 16, 2013
イギリス版も違う原材料になっていて、おそらくオリジナルレシピを踏襲しながら、その国に合った味に変えていることが考えられます。
日本人にはたまたまオリジナルレシピの味が合っていたのかもしれません。
買って比べてみた
原材料を見ただけでは具体的にどういう味かわかりません。
買って食べ比べしてみました。
まずは、正式なオランダ版です。
トマトの旨みがギュッと濃縮されたいかにもハインツらしい味です。
「ああ、トマトを煮詰めた感じ」がよくわかります。
次に、アメリカ版です。
まったく違います。
オランダ版の直後に口に入れるとよくわかります。
同じメーカーのケチャップとは思えないくらいに違います。
原材料が違うとはこういうことかと思わず納得しました。
口に入れた瞬間、酸味と甘みがベチャッと広がって、そのあと薄い旨みが乗ってくる感じです。
オランダ版のような濃さを感じないのです。
ケチャップはケチャップなのですが、オランダ版の味を知ってるだけにどうしても「なんちゃってケチャップ」に思えてしまいます。
今日からハインツケチャップを見る目が変わりました。
いつも行くスーパーで見かけるあのオランダ製ハインツが、本物のハインツケチャップです。
まとめ
①ハインツケチャップにはオランダ製とアメリカ製があって原材料も違う
②オランダ製がハインツのオリジナルレシピ
③味もまったく違う
トマト缶の黒い真実
「トマト缶の黒い真実」(太田出版)を読みました。
付箋だらけになるくらい強烈な本です。
帯には「それでもまだトマト缶を買いますか」とあります。
本当にトマト缶を見る目が変わりました。
タイトルは「トマト缶」となっていますが、トマト缶だけでなく、ケチャップを含めた加工トマト全般のことが書かれてあります。
もちろん、ハインツのことも出てきます。
ハインツケチャップのボトル裏のラベルには、オランダ産(またはアメリカ産)と書かれてありますが、オランダ(またはアメリカ)で収穫されたトマトを使っているとは書いていません。
ここがポイントです。
実はオランダ産だからといって、すべてがオランダで製造・加工されているということではありません。
どの国のトマトを使って、どの国で加工されてどういう工程を経てケチャップになるのかということまでは消費者はわかりません。
わかっているのは、「オランダ産(またはアメリカ産)」ということくらいです。
ハインツの事情
ハインツは、中国のトマト加工会社から原料の濃縮トマトを買っています。
世界第2位のトマト加工会社の中糧屯河糖業です。
ハインツの他にも、キャンベル、デルモンテ、カゴメなども中糧屯河糖業から買っています。
中国から原料を買う理由は、1つです。
原価を抑えられるからです。
トマトの濃縮加工は収益性が低いのです。
使用する原料のトマトが同じなら、あとは味を変えるだけです。
中国で生産されたトマトを中国の工場で加工します。
ここまでは完全な中国産です。
でも、ケチャップのラベルにはオランダ産とあります。
どこかの工程で切り替わるのです。
味付けかもしれませんし、ボトル詰めかもしれません。
中国産の加工用トマトがイタリア産に変わる
意外に知られていない加工用トマトの作り方や中国産からイタリア産にすり替わるカラクリも書かれてあります。
ケチャップやトマト缶に興味ある方は、ぜひ読んでみてください。
ケチャップとトマト缶を見る目が変わります。