10選に入らなくても、基準を満たしていなくても、全力でオススメしたい。/ケンタロウ本「はじめてのキッチン」

NIKKEI STYLEで、初心者向けのレシピ本が紹介されています。

初心者向けレシピ本10選

 

ケンタロウ本は選考外

上記の最後のページに調査方法の説明があります。

・2016年以降に出版
・初心者向け
のレシピ本を複数の書店員さんのアドバイスを元に25冊選び、
・レシピの簡単さ
・本の編集上の工夫
・料理の基本や常識が押さえられているか
などの項目で集計したそうです。

記事タイトルを見た瞬間、「もしかしてケンタロウ本入ってる?」と飛びつきましたが、「2016年以降のレシピ本」であっさり納得しました。

はじめてのキッチン

初心者向けのケンタロウ本といえば、2005年に出版された「はじめてのキッチン」(文化出版局)です。

仮に「はじめてのキッチン」が2020年に出版されていたとしても、上の10選には入らなかったと思います。
選考基準を満たしていないからです。
「レシピの簡単さ」「本の編集上の工夫」はクリアしていますが、「料理の基本や常識」はそれほどありません。
そもそも網羅的な料理本を目指していません。
「幅広く料理を学びたい方はぜひ他の本を手に取ってください」というスタンスです。
ジャンルもメニューも結構偏ってます。
魚料理は載っていません。
「ザ・和食」のメニューもありません。
どちらかというと、ケンタロウさんの好きなメニューばかりです。
それがケンタロウ本です。
10選に入らなかったとしても、ケンタロウさんは「あ、そうですか、別に気にしない」と言うでしょう。

料理ができなくてもいい

私は「はじめてのキッチン」が大好きです。
全力でオススメしたい本です。
その理由は、「はじめに」にあります。
「はじめに」の2ページで、この本は「買い」です。

冒頭からガツンときます。

この本は、料理は小さいころから学んだほうがいいとか、食には小さいころからふれたほうがいいとか、まして、小さい子に無理に料理をさせようという本ではけしてありません。

別におとなになってからだって料理は十分学ぶことができるし、だいたい、そもそも、だれもが料理ができるようにならなきゃいけないわけじゃないので、おとなになってなお料理ができなくたって、ぜんぜんかまわないとも思います。

わずか数行だけでもケンタロウさんの考えとこの本の目指すところがよくわかります。
「料理ができなくてもいい」は、すべてのケンタロウ本のベースです。

 

おいしいものを作れるということは、おいしいものを食べられるということで、それ以上の幸せはちょっとありません。
その幸せは、特別に練習しなくても、今日からでもすぐに味わうことができるし、もっと慣れていけばもっともっと幸せになれることもまちがいありません。

すべての引用:はじめてのキッチン(文化出版局)4〜5ページより

「じゃ、ちょっとやってみようかな」と思えるところがケンタロウ本の良さなのです。