ケンタロウ本は美術書だと思えば、手袋をして読みたくなる。/ブックオフ

ブックオフで、とてもきれいなケンタロウ本を見つけました。

「ふたりのハッピーメニュー」(講談社)です。

 

中古なのに新品

その「ふたりのハッピーメニュー」は、どこからどう見ても新品そのものです。
中古の意味や定義を考え直したくなるほどの美しさです。
きれいというより「美しい」という言葉を使いたくなるほどです。

「ふたりのハッピーメニュー」を持ってる人はわかると思いますが、この本の表紙カバーは光沢のあるツルツルした紙です。
爪の先をシュッと走らせれば、一発で傷跡が付いてしまうような紙質です。
そういう傷跡がほとんど見当たりません。
本を傾けながらじっくり見て、ようやく1つか2つわかる程度です。
本屋さんの棚に並んでいる本の方が、もう少し傷があるくらいです。
それほどにきれいです。
まったく読んだ形跡がないのです。
「今さっき印刷所から出てきたばかりなんです」と言われても、信じてしまいます。

「ブックオフにもそんなにきれいな本があるのか」とびっくりして、「それほど美品なんだから、きっと高いはずだ」と思った人は、もう一度びっくりします。
200円です。
「たったの」と付けたくなる衝撃プライスです。

買い物での驚きは2つあります。

①先にモノを見てから値段を知って驚く
②先に値段を知ってからモノを見て驚く

私は先に200円を知ってから、本のきれいさに目が点になりました。

この本はどこからどうやってきたのか

一番気になるのは、こんなにきれいな「ふたりのハッピーメニュー」がどこからどういう経路でブックオフにやってきたのか、です。

ブックオフに並んでいる本は、中古です。
ということは、この「ふたりのハッピーメニュー」も中古です。

①誰かが持っていて、不要になったのでブックオフに売りに来た
②倒産した本屋さんの在庫をブックオフが買い取った

①は一番わかりやすいパターンです。
②はどれくらいあるのかわかりませんが、あり得ます。

もし、①だったら、その人は手袋をはめて、まるで美術館に保管されてるような貴重な美術書を読むかのように扱っていたはずです。
傷や汚れどころか、指紋の跡もないのです。
「ふたりのハッピーメニュー」はレシピ本です。
見ながら調理をするのが一般的なレシピ本の使い方です。
調理をすれば手も汚れます。
その手で触るレシピ本も、少しぐらいは汚れます。
レシピ本を触るたびに手を洗ったとしても、手に残った水分で紙が濡れて皺皺になることもよくあります。
そんな形跡もありません。
大胆に推測すれば、料理に使うために読んでいたのではなく、「鑑賞」していたのです。
その人にとって骨董品のような存在だったに違いありません。

もう一つ考えられるのは、その本は「保存用」だった可能性もあります。
日常用にもう1冊持っていて、ボロボロになるくらいに読み込んでいるかもしれません。

いずれにしても、ファンの鏡のような愛し方です。

本当はどういう経路でブックオフに入荷したのか、気になります。
たぶん買い取った人でさえ、そこまで気にしてないでしょう。
夢のある①であってほしいです。
できることなら、なぜこんなにもきれいな状態を保てたのか、ぜひインタビューしたいです。