小林カツ代さんの「愛しのチー公へ」に、ケンタロウさん
カツ代さんの「愛しのチー公へ」を読みました。
愛しのチー公へ
生きものたちとの一期一会
小林カツ代
筑摩書房
1999年8月発売
カツ代さんイコール料理ですが、この本はレシピ本ではありません。
全編、動物と命の話です。
犬や猫だけでなく、動物園の園長かと思うくらいいろんな動物が出てきます。
ペットとしての動物ではなく、命ある生き物として描かれています。
ケンタロウさんや姉のまりこさんも出てきます。
夜の鯉とふたりの男
小林家みんなが好きな、鯉料理が売りの店の店主が飼育していた鯉をお堀に逃がしに行く話です。
いくら商売道具であっても、情が湧くと包丁を入れることができなくなるというのは、とてもよくわかります。
六本木にお店があったそうですが、今はないみたいです。
浦島ケンタロウ
中学生だったケンタロウさんがいじめられてたミドリガメの「ミドリ」を救ってきた話。
冗談を真に受けたカツ代さんのしたことで死んでしまうのですが、もし生きてたらケンタロウさんは竜宮城に行ってたかもしれません。
ハチノヘハッチャン
ケンタロウさんが大学生の頃の話です。
もうこの頃からイラストレーターを目指していたそうです。
ケンタロウさんは、幼稚園の時から動物を見る目が違っていました。
みんな動物の足を丸く描いていたのに、ケンタロウさんは動物ごとに描き分けていたそうです。
クララ、さあ立ちなさい
まりこさんがペットショップで見かけた弱っていたラブラドールを連れて帰ってくる話です。
ケンタロウさんの、居ても立っても居られない気持ちが、痛いほど伝わってきます。
優しさと厳しさ
ほのぼのした話もありますが、ドキッとするような厳しい指摘もあります。
カツ代さんの動物が好きだからこそ許せることもあれば、好きだからこそ見て見ぬふりができないこともあるのです。
この本を読んで、改めてケンタロウさんがクロタロウくんを思う気持ちがよくわかりました。