ケンタロウ本は、思った以上に奥が深い。

私が最初に出会ったケンタロウ本は、「ケンタロウのフライパンひとつでうれしい一週間!」(講談社)です。

フジワラさん

料理本なのに、表紙カバーには料理が1つも載っていなくて、ケンタロウさんのことを知らない人にはなんの本かわからない斬新なデザインです。
(上記画像は、再販版です)

私にとっての最初のケンタロウ本は、当時働いていたお店のお客さんにいただいたのです。
かろうじてケンタロウさんの名前くらいは聞いたことがありましたが、どんな人かまでは知りませんでした。
フジワラさんは私が一人暮らしをしていたのをご存知で、プレゼントしてくれたんだと思います。
そのフジワラさんがなぜケンタロウさんをチョイスされたのかは、今でも気になっています。
フジワラさんがケンタロウ本をチョイスされなかったら、今こうやってブログを書いていないかもしれないのです。

その頃、料理は作っていましたが、それほど夢中ではありませんでした。
食べるために作っていたくらいです。
もらったケンタロウ本を開く頻度も少なかったです。
今もこの本を手に取ると、あの頃のことを思い出します。

エッセイからヒントを読み取る

揚げ物のページに、こうあります。

仕事上のイヤなことも、人間関係のめんどくさいことも、この際だからまとめて全部揚げちゃって、端からパリパリ食べたろか

真面目なレシピ本にはまず出てこないようなフレーズです。
別に言わなくてもいいことです。
それをあえて書いてくれることで、ケンタロウさんの人間臭さが伝わります。

当時の私は、「ふーん」と流し読みしていました。
料理本として読んでいるから、奥深さを見落としているのです。
料理を作るためなら、それでも問題ありません。
料理に「仕事上のイヤなこと」も「人間関係のめんどくさいこと」も関係ないからです。
でも、誰もが経験していることです。

ケンタロウさんの言っていることは比喩ですが、ちゃんと解決策になっています。
本質です。
「イヤなことは揚げて食べちゃえ」は、「逃げないで飲み込もう」です。
イヤなことから逃げると、一瞬は楽になりますが、その場しのぎです。
解決してないので、またすぐにつらくなります。
その繰り返しです。
揚げて食べることは、自分から向かっていってます。
受け身ではないのです。
完全には解決しなくても、なんとかチャレンジしてみようという意気込みが感じられます。
結果的に失敗したとしても、確実に成長しています。

料理本なのに、ここまで考えさせられるのはなかなかないです。
流し読みでも、ちゃんとおいしい料理は作れます。
でも、ちょっとした文章でも「これはどういうことだろう」と考えてみることで、何かのヒントになることもあるのです。
ケンタロウ本は、あなたが思っている以上に、奥が深いのです。

 

今できることつらいことは、揚げて、食べよう。

おまけ

「フライパンひとつでうれしい一週間!」にも、ケンタロウさんがいつもよく聴いてるCDの写真がいくつも載ってます。

そのうちの1つが、
East Bay Grease – Tower of Power
です。