小林カツ代さん直伝 ケンタロウさんの作り方

カツ代さんは、子供たちを育てる上で食べることが大好きな子にしたいと強く心に決めていたそうです。

 
出典:育児ぶっつけ本番
小林カツ代
(大和書房/1983年10月)


親と同じ食事を食べる

本に出ているあのケンタロウさんを見るだけでも、好きすぎるくらいに食べることが大好きなのは誰もが知っています。

子供たちに食べることが大好きになってもらうためにカツ代さんがしたのは、できるだけ早い時期から大人と変わらない食事をさせることでした。

それがよかったのか、「いただきます」とうれしそうな声で始まり、「ほら、みんな食べたよ」で終わるので、母親として幸せ

とにかく薄味に

カツ代さんは、子供たちに自然の味を覚えさせるために薄味にこだわったそうです。
特に、小さい頃の舌はまだ未発達なので、繊細な味はわかりません。
そのため割とはっきりした味付けにしてしまいがちです。
そこをあえてカツ代さんは薄味にしたのです。

たとえば、にんじんは味付けをしないで食べると、あまり味はしません。
じっくり味わえば、まろやかな甘みはありますが、決して濃い味ではありません。

初めからおいしい味を付けてしまったら、それが本当の味だと思ってしまうから

まさにその通りです。
何事も最初が肝心なのです。
おいしい味というのは、大人にとっての味です。
でも、それは子供のおいしいではありません。
経験としてわかりますが、小さい頃の味覚は、後々になってもずっと残ります。

薄味がいいのは、素材の本当のおいしさを知るので、後が非常に楽

食事は楽しい時間

嫌いなものが1つや2つあったとしても、食べることが楽しいのであれば、どうってことはない

嫌いなものがあると、つい無理に食べさせようとしてしまいがちですが、それによって「食事は辛い時間なんだ」と感じてさせてしまうことになります。
大前提として、食事は楽しい時間なんだと思ってもらうこと。
そのためにも嫌いものがあってもいいのです。

カツ代さんは「薄味はまずいと思うのは大人の感覚で、大人がおいしいと感じる味付けは赤ちゃんには濃すぎ」と言ってます。
考えてみれば当たり前ですが、私たちの舌は、大人の基準で味わっています。
でも、それは赤ちゃんの基準とはまったく違います。
「ミルクしか飲んでない赤ちゃんの舌には、少しの塩分も敏感に塩の味として受け止められる」のだそうです。

これほどまでに理屈立てて食事のことを考えて育てられたら、あのケンタロウさんが出来上がるのは容易に想像できます。
自動的にスッと出来上がってしまう感じすらします。
何よりカツ代さん自身が楽しんで料理を作っていることが、しっかりと子供たちに伝わっているのです。
子供は、ちゃんと親を見ています。
それほどに楽しんで食べるというのは大事なことなのです。
楽しんで食べるからおいしく感じるし、おいしいからさらに楽しくなるのです。

ケンタロウさんは、薄味で育った

ケンタロウさんは、「なりたくて料理家になったのではない」と言っています。
でも、結果として料理の仕事をしているということは、やっぱり小さい頃からの素地があったからです。
いい意味で、舌が鍛えられたのです。
舌は一朝一夕では鍛えられません。
食事は、1日3回あります。
その積み重ねがケンタロウさんの舌を作ったのです。
もし、薄味で育ってなかったら、今頃はイラストレーターだったかもしれません。
ケンタロウさんの口癖は、「うれしい」です。
「おいしい」よりも多く言ってるかもしれません。
ケンタロウさんにとって、食べるのも、作るのも、「うれしい」ことなのです。

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