【ケンタロウさん】失敗や遠回り、めんどくさいことを避けていたら、上達しない。

何事も、経験です。

知らないよりは知っておいた方がいいです。
やらずに失敗しないよりも、やって失敗した方がいいです。
それが自分の経験値になるからです。

玉ねぎのみじん切り

ケンタロウさんが面白いことを教えてくれています。

玉ねぎのみじん切りは涙が出るということも、中学生のことにしっかり実感した
今の子供たちには、そういう経験は少ないのではないか
どうってことないけど、これも一つの感性だから、経験しないよりした方がいいと思うんだが
涙が出て困る経験も料理上手の入口かも

出典ケンタロウのはじめてつくるおとこの料理
(朝日新聞出版)
「ハンバーグ」より

玉ねぎのみじん切りをすると、涙が出ます。
慣れればそういうもんだと思えますが、私も料理をし始めた頃はよく目をショボショボさせながら切っていました。
確かに玉ねぎのみじん切りで涙が出るのも、一つの経験です。
うっかり包丁で手を切ってしまうのも、一つの経験です。
できればしない方がいい経験もありますが、それをしたことでわかることも多いです。

僕は泣かない

玉ねぎのみじん切りで涙を流さないコツを教えてくれています。

あまりゆっくりやっていると、途中で涙が出てくるから、泣かないためには、「涙が出る前に終わらせる」のが一番のコツです
僕はいつも泣かないよ

出典TBSラジオ「ケンタロウのおいしいラジオ」
2002年6月第1週「玉ねぎ」より

生ゴミの感触

ケンタロウさんがまだ小さい頃、母カツ代さんのお手伝いをしようと生ゴミをゴミ袋に入れた時、なんとも言えない感触を味わいます。
「ママはこんなことまでやっていたのか」とわかったそうです。

生ゴミの片付けは、できればしたくありません。
仮に自分がやらなくても、誰かがしなければなりません。
生活とはそういうものです。
 

料理本ではわからないこと

たとえば、家で天ぷらをします。
ワンルームのキッチンの小さな換気扇では、油を吸ってくれません。
「ブイーン」と回っているのですが、部屋中に油が流れていくのです。
そこらじゅうの床が油でツルツルしていて、匂いも充満しています。
天ぷらを作っている時より後片づけの方が大変なのです。

豚肉を炒めたギトギトのフライパンを洗います。
そのスポンジでグラスを洗うとかえって汚すことになります。
フライパンを洗った時の油がスポンジに残っていることがあるからです。

どちらも料理本には書いてません。
料理本に書いてあるのは、あくまでも調理のことです。
「調理の後の片づけは各自でやってください」というスタンスです。
料理本に書いてないからといって、すべてが問題なくできるということはありません。
大なり小なりいろんなトラブルが起こります。
そのトラブルを1つ1つクリアしていくのも、生活力です。
それが人生です。

「家で天ぷらをするのは楽しいけど、後片づけは結構大変なんだよな」が経験です。
その経験をどう生かすかは、その人次第です。
「それでもやりたい」という人と「もう二度とやらない」という人に分かれます。

「ギトギトのフライパンを洗った後のスポンジは油が残りやすい」が経験です。
「じゃ、先にグラスを洗っておこう」「スポンジを分けよう」は経験で得た知恵です。
「そんなこと」とバカにはできません。
小さな経験を生かすことで、生活力のレベルを上げていくことができるのです。

失敗するから上達する

料理に限らず、失敗はしたくありません。
失敗したくないと思い始めると、チャレンジしない方向にいきます。
「チャレンジしない」イコール「行動しない人」です。
失敗はしませんが、行動もしないので成功もありません。
気づきもありません。
現状維持どころか後退です。
それも一つの生き方です。

今の時代、楽をしようと思えばいくらでも楽をすることはできます。
そもそも料理は義務ではありません。
「苦手だな」「めんどくさいな」と思う人は、しなくていいです。
したい人だけがすればいいのです。
料理はめんどくさいです。
そういうものです。
料理はめんどくさいですが、その中にも面白さや楽しさがあります。
それはやってみないとわかりません。
本に「料理は楽しい」と書いてあっても、どう楽しいかはやってみた人にしかわかりません。
それが料理です。

「めんどくさいな」と思いながらも、「こうやったら楽にできるかも」と工夫する人は上達します。
上達すれば、今まで「めんどくさいな」と思ってたことが少なくなってきます。
「もっとやってみよう」と思えます。
その繰り返しです。
工夫する段階では失敗もします。
料理には、失敗は付き物です。
ワンセットです。
失敗も、経験です。
「今は経験値を増やしているんだ」と思えばいいのです。
失敗を避けるのではなく、失敗をまるごと楽しむことが大切です。
失敗をまるごと楽しめる人は、人生をまるごと楽しめるのです。
 

今できること失敗を、喜ぼう。