ケンタロウ本には、「男たちの悪ノリ感」が詰まってる。

先日、「料理書のデザイン」を紹介しました。

 

料理書のデザイン

鈴木めぐみ
(誠文堂新光社)
 

この本の中で、アートディレクターの有山達也さんが「小林カレー」をデザインした経緯などを話してくれています。

有山さんは、こう言います。

小林カレーは自由にやらせてもらった

言い換えれば、「なんでもあり」な本です。

たとえば、
・本のタイトル名
・メニュー名
・題字
・奥付の写真
・ページ展開、写真の置き方
など、どれも「めちゃくちゃ」だそうです。
もちろん、いい意味です。

そういう制作の裏側を聞いた著者の鈴木めぐみさんは、「男たちの悪ノリ感を感じる」と言ってくれています。
これは最高の褒め言葉です。

ケンタロウ本は「男たちの悪ノリ感」でできている

私は、反射的に、すべてのケンタロウ本に「男たちの悪ノリ感」が散りばめられてることに気がつきました。
メニュー名だけみても、ケンタロウ本にはちょっと変わったネーミングは、意外に多いです。

たとえば、
・ネバネバネバネバ丼
・のんびり牛すじカレー
など、挙げるとキリがないくらいに、ユニークなメニュー名があります。

「悪ノリ」と言うと、マイナスイメージを思い浮かべますが、決してふざけているのではありません。
あくまでもノリのよさであって、その場の空気感です。

どのケンタロウ本を見てもわかりますが、ケンタロウさんは、真面目すぎるのは好きではありません。
きっと照れ臭いのでしょう。
読者も、真面目すぎる本だと、窮屈に感じて、読んでて疲れてしまいます。
かといって、ずっとチャラチャラしているわけでもありません。
メリハリとバランス感覚です。
ふざけてるように見えて、実はちゃんとしてて、ちゃんとおいしい。
そのギャップがたまらないのです。

カツ代さんもノリがいい

「悪ノリ」のルーツを辿ると、母のカツ代さんに行き着きます。
カツ代さんのメニュー名も、やっぱりユニークです。
たとえば、
ハヤシライスをシンプルにした「ハヤシくん」
「ケンタッローフライドチキン」
などです。

カツ代さんは、大阪人です。
大阪人は、異常なほどにノリと空気感を大事にします。
「それおもろいやん」の精神です。
「おもろい」のDNAは、見事にケンタロウさんにも受け継がれているのです。
ケンタロウさんだけが悪ノリしているのではなく、そういう家系です。
血筋なのです。

以前、「ケンタロウレシピは、やんちゃ」というのを書きましたが、レシピを見ながらも、ケンタロウさんの人生観が感じれるのも、ケンタロウ本の魅力の一つです。
ノリのよさをわかってもらえるノリのいい人たちと一緒に仕事ができるのは、最高に幸せなのです。