【ケンタロウさん】料理写真は、図鑑だ。
- 2018.06.20
- ケンタロウさん
- ケンタロウさん/掲載・発見
伊藤まさこさんの「おいしいってなんだろ?」(幻冬舎)に、「ケンタロウ 1003レシピ」(講談社)がどのように作られたかが書かれています。
木村さんは、こう言います。
彼(ケンタロウさん)は料理写真は図鑑でいいとよく言ってた
「1003レシピ」はあえて図鑑のような撮り方をしている
料理写真は図鑑でいい
ケンタロウさんが考える図鑑の定義や基準はわからないですが、「料理写真は図鑑が理想」ということは、以下の3つだと推測しました。
①あくまでも料理が主役
②調理手順の写真はできるだけ少なく
③演出としての小物は不要
「ケンタロウ 1003レシピ」に限って言えば、上の3つはすべて満たしています。
ケンタロウさんは、いつ頃から「料理写真は図鑑でいい」と思うようになったのでしょうか。
仮に「ケンタロウ 1003レシピ」の料理写真がケンタロウさんの考える理想形だとして、その前後に出版されたケンタロウ本は、どのような写真が使われているのか調べてみました。
(企画本と雑誌の連載を書籍化したものは除きます)
おもてなし
(文化出版局/2009年6月)
撮影:澤井秀夫さん
ケンタロウの早うま野菜レシピ
(ソニー・マガジンズ/2010年3月)
撮影:渡邉文彦さん
働きざかり、遊びざかりに元気弁当
(文化出版局/2010年6月)
撮影:澤井秀夫さん
ケンタロウの日の出食堂
(ベネッセコーポレーション/2011年2月)
撮影:新居明子さん
やっぱり肉が好き
(文化出版局/2011年9月)
撮影:澤井秀夫さん
ケンタロウのないならないで あったらあったで
(NHK出版/2011年11月)
撮影:公文美和さん
ケンタロウの洋食 ムズカシイことぬき!
(講談社/2011年12月)
撮影:木村拓さん
同じ世界観がある
「ケンタロウ 1003レシピ」は2010年4月に出版されてますが、ここではその1年前からの本を選んでみました。
まず、文化出版局から出版された
「おもてなし」
「働きざかり、遊びざかりに元気弁当」
「やっぱり肉が好き」
の3冊は、以前にも書いたように、レシピ本の教科書のような作りで、ケンタロウさんが理想とする料理写真になっていると思われます。
「早うま野菜レシピ」は、ハワイのガイドブック的な要素もある本ですが、料理写真はちゃんと「図鑑」になっています。
「日の出食堂」も、とてもシンプルな構成で、全体を通して見事に統一感があります。
「ないならないで あったらあったで」は、雑誌の連載をまとめた本ですが、例外として取り上げました。
使われている写真が、どれも図鑑だからです。
調理過程の写真は一つもなく、すべて完成したショットのみで構成されています。
「洋食 ムズカシイことぬき」は、「1003レシピ」と同じく、木村さんの撮影です。
「ケンタロウ 1003レシピ」が図鑑なら、この「洋食 ムズカシイことぬき」も、紛れもなく図鑑です。
今回紹介した8冊に共通しているのは、どの料理写真もシンプルで、別のカメラマンが撮っているのに、同じ世界観を感じるのです。
それほどにケンタロウさんの思いが共有されているのです。
まさにチームケンタロウです。
ただレシピを見たり写真を眺めるのではなく、どういう思いでこの本が作られたのかを考えながら読むと、より深くケンタロウさんの世界が味わえるのです。