【ケンタロウさん】料理には、テクスチャーが大事だ。

石川伸一さんの「料理と科学のおいしい出会い」(化学同人)が面白すぎます。


料理のテクスチャー

第2章『「料理をおいしく感じる」の科学』の「三 料理のテクスチャーと温度を感じる」には、ケンタロウさんが大事にしていることが書かれてあります。

料理のおいしさには、舌や鼻で感じる風味だけではなく、口にしたときの歯ごたえ、口あたり、舌ざわり、のどごしなどの物理的な「触覚」が大きく影響します。
このような、食べものを口に入れ、咀嚼し、飲み込むまでの唇・歯・舌・口蓋・のどなどで感じるさまざまな物理的な感覚は、「テクスチャー(texture)」と呼ばれています。

料理の中に存在する、舌で感じる甘味・塩味・酸味・苦味・うま味といった味覚分子や鼻で感じる香りの嗅覚分子が形成しているのが「化学的なおいしさ」であるとすると、唇、口腔内、咽頭、歯などで感じるテクスチャーは、料理の物性を反映する「物理的なおいしさ」であるといえます。
テクスチャーは、風味とともに料理のおいしさに影響する二大要因と考えられています。

テクスチャーは食べやすさに影響を与えます。
おいしい料理をつくるためには、食品のテクスチャーがどのような特性を持っていて、それが人の感覚にどのように影響するか、どのように食感を感じさせるかについて考えることが大切でしょう。

一部引用:75〜80ページ

料理には歯応えが大事

「大っきいおかず 小っちゃいおかず」(講談社)のQ&Aページでのケンタロウさんの回答はまさにテクスチャーの重要性を言ってます。

Q. メインが決まっても、サイドディッシュは?
その組み合わせ方がよくわかりません。

K:まず俺が何よりも考えるのは歯ごたえ。
似たような歯応えのものばかりだと、1品1品はおいしくても、全体ではつらくなる。
でも、歯ごたえの組み合わせがいいと、お互いに引き立て合ってもっともっとおいしくなる。
ガシッとした歯応えの肉にとろっとソースのメインだったら、シャキシャキの歯応えのサイドとか。
カリカリのチキンだったら、ホコホコのいもがあって、パリパリサラダかな、というふうにね。

引用:34ページより


ベストな食感と組み合わせ

TBSラジオ「ケンタロウのおいしいラジオ」最終回のメッセージでも、やっぱり歯応えのことを言ってます。

僕がこの番組で何度も言っていたことは、「歯ごたえ」なんじゃないかな。
素材の一番ベストな食感と、その組み合わせ。
ガシガシお肉を噛んだら、ふっくらご飯に、シャキシャキ野菜も食べたい。
なめらかな豆腐の食感、温かいじゃがいものほこほこする感じもいい。
彩りも大事だけど、こうやって歯ごたえを考えながら献立を考えれば、自然にバランスの取れたおいしい食卓になるんじゃないかなと思っています。

引用ページ:2010年4月2日|ケンタロウのおいしいラジオ

ケンタロウさんとテクスチャー

ケンタロウさんは、いちいち「テクスチャー」とか「特性」といった難しいことを考えながら料理をしているわけではないと思いますが、それでも感覚的にいかにおいしくなるかはいつも大切にしています。
「このメニューはどういう歯応えがあるんだろう」とテクスチャー視点でレシピを見るのも、ケンタロウ本の楽しみ方の一つです。