ケンタロウ本「つまみリスト」の章タイトルは、ストーリーになっている。

「つまみリスト」(文化出版局)の章タイトルが面白いです。


ドカンと、うまいつまみ

以前、同じ文化出版局の「ドカンと、うまいつまみ」のことを書きました。
まえがきがストーリーになっています。
このまえがきだけで本代の元が取れるくらいに面白いです。
 

パクチー料理研究家のエダジュンさんは、このまえがきがきっかけで料理家になることを決意しました。
 


つまみリスト

「つまみリスト」には、まえがきがありません。
その代わり、章ごとのリード文が最高に面白いです。

・まあ、これでもつまんでてよ
・そろそろ、そろったかな
・ビールにはやっぱり揚げ物かな
・まったくよく飲むなあ、食うなあ
・きのうから待ってたんだよ
・アツアツをつついてね
・きょうは楽しかったねぇ!

章がよくありがちな「味付け別」「材料別」「ジャンル別」ではなく、時間別・シチュエーション別に分けられているのです。

下記ページに全目次が載ってます。

つまみリスト 目次|文化出版局

余計なことはしないでシンプルに仕上げる、ケンタロウさんならではのおしゃれなつまみばっかり。

句点がない

私が一番好きなのは、「まあ、これでもつまんでてよ」です。

人が来たときに、「とりあえずまあ、これでもつまんでてよ」と言う機会は実に多い。
そういうときにはつまり、ごく簡単で、若干の空腹を満たすようなものでありながら、その後にひかえている料理やもっと他のつまみのためにあまりおなかにたまるものではなく、味にはパンチがあって酒がすすむのはもちろんだけれど、けっして極端に刺激的ではなく、どこか軽快、そういうものが出したいと思うわけです。

引用:つまみリスト(文化出版局)
「まあ、これでもつまんでてよ」より

「そういうときには…」から句点がありません。
この一文にケンタロウさんの思いが滲み出ています。
これから始める飲み会の盛り上がりを予感させる文章です。
「こんな感じの料理がいいよね」の説明文ですが、映像としても見える気がします。
目で読むだけでもったいないです。
声に出して読みたい、ケンタロウ本なのです。