【ケンタロウさん】野菜のスープ煮とアヤシイ関係になりたい。

夜な夜な、野菜のスープ煮をニヤニヤしながら作るケンタロウさんの顔が目に浮かびます。

野菜のスープ煮

「ごくらくの食卓」(主婦と生活社)の「野菜のスープ煮」は、人生ドラマです。

優しい味、というのがある。
食べると、なんだか「いいよ、いいよ」と言ってくれるようなそんな味だ。
べつに、疲れ切ってるとか、すごい悩みがあるとかいうわけじゃない。
でもなんだか「いいよ、いいよ」と言ってくれるようなそんな味だ。
励ますとか、カづけるとか、そういうんじゃなくて、ただ無条件に優しくされる心地よさ。
お互いに気負いのない関係。
野菜のスープ煮なんかと夜な夜なそんな関係をつくってるなんて、という人がいるかもしれないけれど、そういう関係がつくれるような料理を作れ、と言いたい。

(46ページより引用)

これだけ読むと、まさか料理本のエッセイとは思いません。
ドラマのセリフか、ストーリー仕立てになっているCMのようです。

野菜のスープ煮は、食べ物です。
人ではありません。
でも、だんだんと人に思えてきます。
擬人化することで、肌の温かみを感じるのです。
最後には、完全にモノとは思えなくなっているから不思議です。

「夜な夜な」も、普通は料理本では使わない単語です。
擬人化させた野菜のスープ煮と関係性を持たせることで、艶めかしい空気感が醸し出されています。
これがケンタロウさんのセンスであり、世界観です。

Vegetable Soup

あなたが夜な夜なな関係になりたいのは、どんなスープですか。