ケンタロウ本は、自分の好きな味を思い出させてくれる。/じろまるいずみさん

じろまるいずみさんが「ドカンと、うまいつまみ」(文化出版局)を紹介してくれています。

私が好きだった味はこれだった

 


なんでもないものが一番おいしい

ケンタロウさんは、「なんでもない料理が一番いい」と言います。
たとえば、「ケンタロウのすごくシンプルなごはん」(学研)のまえがきにはこうあります。

「毎日のごはんは、シンプルにおいしく」
肉を焼いて醤油かけただけでじゅうぶんうまいとある日あらためて思った。
芋焼いて塩ふっただけで最高だ。
いろんな調味料や素材の組み合わせによって、複雑で奥深いおいしさがある一方で、直球ど真ん中の潔くシンプルなおいしさがある。
シンプルでただうまい。
素材も調味料も少なくてうまいもの。
何かを削ぎ落としたりせずに、そもそもシンプルだからこそうまいもの。
シンプルだとかえって、焼き目がバシッとついてて香ばしいとか、こしょうが効いてるとか、なんでもないことがいちいちおいしくうれしい。
日々料理をしていろんな味の組み合わせを知った結果、たくさんの調味料や素材を使うことももちろんある。
みりんと砂糖にさらにハチミツも加えて、甘さだけでも層の厚い味を考え出すのだって最高に楽しい。
その楽しさも知った上で、肉を焼いて醤油かけただけ、芋焼いて塩ふっただけのおいしさが、あらためてうれしいと思える。
素材を信じて自信を持って、とにかくシンプルに作るもの。
そういうものが、まずは毎日のごはんなんじゃないかと思う。

 
「ドカンと、うまいつまみ」は、タイトルの通り、おつまみがテーマです。
でも、料理の基本姿勢は他のおかずの本とまったく同じです。
奇をてらったものではなく、「なんでもないもの」です。
じろまるさんも、そこに気づいたのです。
じろまるさんが求めていたのは、「なんでもないもの」だったのです。


じろまるいずみさん