「ケンタロウのないならないで あったらあったで」は、ケンタロウさんの生き方そのものだ。

「ケンタロウのないならないで あったらあったで」(NHK出版)のタイトルは、素晴らしいです。


このひと言で、ケンタロウさんのすべてを言い表してます。
この本は、余りがちな食材や調味料をいかに使い切るかがテーマです。
なので、「ないならないで あったらあったで」は、食材や調味料のことを指してます。

「その調味料があったらあったで使いますが、別になくても構いません。
無理に買いに行かなくていいです」ということです。


「ないならないで あったらあったで」は、ケンタロウさんの生き方

「ないならないで あったらあったで」は、すべてのケンタロウ本の共通のテーマです。
同時に、ケンタロウさんの生き方でもあります。

たとえば、高級な食材を使うとそれなりにおいしく作れます。
でも、ケンタロウさんは使いません。
「そんなの必要ないし、現実的じゃない。いつものフツーの食材で十分」がケンタロウさんの信条だからです。

時間

時間も、そうです。
たっぷり時間をかけた方がいい料理もあれば、5分でもパパッとできる料理もあります。
どっちがいいということではなく、どっちも素晴らしいのです。

やる気

やる気や気合いも、「ないならないで あったらあったで」です。
仕事でクタクタに疲れて帰った時に、そこから手の込んだ煮込み料理はきついものがあります。
いつも冷蔵庫に食材がバッチリ揃ってるとも限りません。
そういう時は、チャチャッと焼いた目玉焼きをごはんの上に乗せただけの丼でも十分なのです。

食事は、誰かと一緒に食べる方がおいしく感じます。
でも、いつも誰かと食べられるとは限りません。
一人で食べる時間も、最高の時間です。
一人で食べる食事イコールつまらない食事、寂しい食事、ではありません。
一人は一人なりの楽しみ方があります。
ケンタロウ本にも、「ひとりごはん」(NHK出版)というのがあるくらいです。

 


テクニック

料理はテクニックで決まる、と思いがちですが、そんなことはありません。
確かにテクニックがあった方が、調理の幅は広がりますが、必ずしも必要ではありません。
フライパンが振れなくても、菜箸で混ぜればいいのです。
まさに「ないならないで あったらあったで」です。

ないから「×」ではない

材料も、お金も、時間も、やる気も、好きな人も、テクニックも、全部「ないならないで あったらあったで」です。
全部があるに越したことはありませんが、完璧に揃うことの方が少ないですし、それを望んでいたら、何もできなくなってしまいます。
これはすべてにおいて言えることです。

ある前提で考えないことです。
「なくてもいい。なかったら、その時に考えよう」でいいのです。
「雨が降ったら、出かけない」ではなく、「傘をさせばいい」「濡れてもいい」と考えられるかどうかで、人生は大きく違ってきます。
「ないならないで あったらあったで」は、あったら○で、ないなら×ではありません。
あっても、なくても、どっちも○なのです。

「ないならないで あったらあったで」は、「あったらあったで使うけど、なくても全然オッケー、もっと楽にいこうぜ」なのです。

 

今できること「ない」ことも、楽しもう。