【ケンタロウさん】おいしい組み合わせには、季節の出会いがある。
「ケンタロウの日替り定食」(学習研究社)で、ケンタロウさんが母カツ代さんの思い出話を書いてくれています。
出合いのもの
さんまとさつまいもはどっちも秋が旬のもので、とても相性がいい。
旬のもの同士は出合いのものといって、なぜかふしぎと必ず相性が良くなるように出来ているんだよ、すばらしいことだと思わない? と、しょっちゅう母親が言っていた。
だからさんまときのこも合うし、米とさんまも合う。
うんうんたしかにね。
しかし実際に言われていた頃は、はいはいその話は去年も聞いたぜかあさん、出合いのものだろ? すばらしいよな、と軽く受け流していた。
それでも、案外そういう話はおぼえているもので、さんまを見ると必ず思いだす。
そうやってやがて自分も、はいはいとうさん、と言われる側になるんだろうな。
引用:「ひと味ちがったさんま定食」(78ページ)より
旬の出合いもの
「旬の出合いもの」とは、同じ季節の食材どうしは相性がいいという意味です。
であいもの | 日本の食べ物用語辞典
であいもの(出会い物・出会いもの・出合い物・出会いもん・であいもん・Deaimono)は、 同じ季節に出回る旬のもので、料理の材料として相性がよい食材。
出合いもん
ケンタロウさんは「出合いのもの」と書いていますが、カツ代さんは大阪人なので、きっと「出合いもん」と言っていたはずです。
大阪では「おいしいもの」とは言わずに「おいしいもん」や「うまいもん」と言います。
実際は「さんまとさつまいもは出合いもんなんやで」と言っていたかもしれません。
言葉と思いを受け継ぐ
ケンタロウさんは、カツ代さんから「出合いもの」を教わりました。
母から子へ、です。
それを思い出して、本に書いてくれたのです。
子から、本に。
そして、本を見た私たちが受け取ります。
次に、また誰かへと引き継ぐのです。
たとえば、私は、こうやってブログに書いています。
それを見た誰かが「出合いもの」を知るのです。
カツ代さんの発した口癖が波紋のように広がっていくのを想像すると、優しい気持ちになります。
カツ代さんに、感謝です。
それを聞いて、ちゃんと覚えていて、本に書いてくれたケンタロウさんにも、感謝です。
カツ代さんの季節の出合いものメニュー
小林カツ代さんのレシピサイト「KATSUYOレシピ」には、紹介文に「季節の出合いもの」と書かれたメニューがいくつもあります。
鰆の木の芽蒸し
鰆の木の芽蒸し | KATSUYOレシピ
木の芽の香りをさわらにうつして、季節の出あいもの。
おかひじきとじゃこのポン酢和え
おかひじきとじゃこのポン酢和え | KATSUYOレシピ
季節の出合いものどうしを合わせて、ポン酢で食べる。なにげない一品が嬉しい。
豚肉と野菜の出合い煮
豚肉と野菜の出合い煮 | KATSUYOレシピ
どうやっても美味しく煮える煮物。だれもが煮物名人。
ピーマンのちりめん佃煮
ピーマンのちりめん佃煮 | KATSUYOレシピ
シンプルな組み合わせは季節の出あいもの。
そら豆とオクラの玉子とじ
そら豆とオクラの玉子とじ | KATSUYOレシピ
季節と季節の出会いもの。オクラの粘りは煮すぎちゃあだめですよ。
オクラのごまみそ和え
オクラのごまみそ和え | KATSUYOレシピ
季節の出会いものですよ。麦ご飯や雑穀米にもよく合います。
さつま芋とみょうがのかき揚げ
さつま芋とみょうがのかき揚げ | KATSUYOレシピ
秋ですねえ、季節の出会いものを召し上がれ